ネフローゼの再発誘因
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ネフローゼ症候群の再発についてですが、病気自身の原因か或いはステロイドの停止による再発が多くあります。これ以外の原因によって再発が引き起こされることもあります。ここではこれらの原因について少し書かせていただきたいと思います。
1、風邪・インフルエンザによって誘発される再発です。季節的な要素もありますが、この原因による再発は最も多いです。
2、疲労によって引き起こされる再発です。例えば長時間にわたってハードな仕事をしたり運動したりすることで生じる疲労です。腎疾患の場合、疲労を避けなければなりません。疲労は腎臓によくないと言われています。
3、ストレスによる再発です。
4、感染による再発です。当会会員の中では虫さされによる再発が最も多いです。 疲労にストレスが重なった時の再発率が高くなるようです。私もこのような原因で再発したことがあります。
勿論、人によって状況が異なるので、以上のようなことがあるから必ず再発するというわけではありません。ただこれらが間違いなく再発を引き起こす原因ですので、体調管理にあたり、注意が必要だと思います。
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インフルエンザについて
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インフルエンザは人類にとって最大級の疫病だと言われています。インフルエンザの語源は「influence」(影響)だそうです。昔、ウイルスの認識がなかった時代に、イタリアではインフルエンザの流行について、惑星の並びが悪くなっている時に生じる影響がその原因だと考えられていました。星からの影響の考え方からインフルエンザという言葉が生まれたということです。
この頃、インフルエンザ流行のシーズンに入ったと各地で発表が相次いでいます。また要警戒の季節がやってきました。
インフルエンザの予防接種について、厚生労働省発表のインフルエンザ予防接種ガイドラインでは腎臓疾患の患者が「接種要注意者」という扱いになっています。医療現場では、腎臓疾患の患者がインフルエンザに感染すると病気が重症化する可能性があるから、予防接種をすべきだという意見があります。しかし一方、接種によって病気の再発が引き起こされる恐れがあるという意見もあります。
当会会員の実際の状況はどうかと言うと、接種をしている方と、していない方がいます。接種した方の中で、接種して問題はなかった、接種して再発が引き起こされた、1回目の接種では問題なかったが2回目の接種で再発が引き起こされたという三つのケースがあります。インフルエンザに感染する会員が毎年何人かいます。感染者の中には予防接種を受けていない方もいれば、接種を受けたのに感染した方もいます。
私の場合、インフルエンザの予防接種は子供の時に受けたことがあっただけでそれ以来受けていません。私は喘息の持病があり、毎年インフルエンザ流行の季節になると、マスクにうがい、消毒など神経質なぐらい警戒しています。人込みも極力避けるようにしています。病院に行っても極力待合室で待つことを避けています。片時も油断しません。幸いにして近年インフルエンザにかかっていません。
インフルエンザの予防接種をすべきかどうかについては、どなたにとっても悩むところだと思います。インターネットでは厚生労働省や関係の研究機関発表の情報を多く見つけることができます。判断にあたり、こうした情報を参考にすることが大事です。そして主治医とよく相談することも必要だと思います。
普段、皆さんはインフルエンザの感染を警戒し、相当用心なさっていると思います。こうした予防もかなり有効ですので引き続き頑張りましょう。そして1日も早く流行がおさまることを願うばかりです。(平成25年1月16日)
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観察段階の卒業
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レインボー会の卒業について少しご説明します。ネフローゼ症候群の会員も紫斑病性腎炎などの腎炎の会員も腎康丸治療で病気が治ってから、趙先生の指示により治療を終了し観察段階に入ることになります。一般的に、ネフローゼの尿蛋白、腎炎の尿蛋白と潜血が陰性化してからも暫く腎康丸の治療が続きます。腎康丸治療の期間が、長いのもあれば短いのもあります。各々の会員の具体的な状況によって違います。観察段階は腎康丸治療を終了した時点から2年間です。
観察段階に入った会員に対しては、会は4ヶ月、1年、2年と3回に渡って追跡調査を実施します。調査の実施方法は都度会から皆さんにお手紙をお送りします。皆さんからは返事の形で経過状況を知らせてきます。それぞれの経過状況を会が趙先生にご報告します。観察段階に入ってから2年間経過し、3回の調査が終わった時点で全てが順調で何も問題がなければ、観察を終了します。レインボー会を卒業するというのはこうした観察の終了を指します。
観察段階に入る時と卒業する時の皆さんの声を2、3ご紹介します。2年間の観察が終了した大阪の会員からのメールには「お手紙ありがとうございます。もう観察段階も終わりなんですね。早いものです。病気前と同じように生活も送っております。会社でも完治したとの認識です。自分自身でもそう思っていますが・・・。レインボー会に出会えて本当によかったと思っております。趙先生にもよろしくお伝えください」と書かれていました。
また広島の会員が観察段階に入るにあたり送ってきたお便りでは「ついに観察段階へ…本当に嬉しいです。子供も後2ヶ月でお薬が止められると聞いてすごく喜びました。今まで良く頑張ってくれたと思います。矢野さんや趙先生のお蔭です。ありがとうございました。あの日インターネットでレインボー会に出会わなければ今も息子は治療を続けて病院へ通う毎日だったと思います。まだまだレインボー会が必要な人がたくさんいらっしゃると思います。出会っていない人もすごく大変なことだと思います。これからも頑張って続けて下さい」と述べていました。
そして2年間の観察を卒業した岐阜県の会員から頂いたお手紙には次のように書かれていました。「3年前は歩くことさえ許されないそんな日々を過ごしていたのに…。そんな娘が今それは元気に運動場を、体育館を走り回っています。涙した日々がうそのようです。これからも腎康丸によって1人でも多くの人が元気になることを心から祈っています。ご苦労もあるかと思いますが、頑張って下さい」と。皆さんから頂くこうしたお声はとても励みになります。
勿論、会員全員が全てスムーズに観察段階に入れるわけではありません。紆余曲折のあるケースもあり、ネフローゼ、腎炎の難しさを感じます。ただいつも申し上げていることですが、当会会員の皆さんはどなたも全治を信じて前向きに病気克服の為に頑張っています。しかも闘病しながら他の色々なことにチャレンジしています。皆さんのたくましい生き方にいつも感心し、励まされています。入学・進学・就職、そして結婚・出産などのおめでたいニュースも皆さんから時々届きます。嬉しく思います。
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ネフローゼの浮腫み
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ネフローゼ症候群の診断基準では、蛋白尿と低蛋白血症は必須条件ですが、高脂血症と浮腫みは必須条件ではなくて、これらを認めればネフローゼの診断はより確実になるという位置づけだそうです。
当会で浮腫みを経験した会員は少なくありません。ネフローゼ症候群の浮腫みは実際に経験したことがないと、その大変さは分からないと思います。浮腫みに関して、日頃皆さんから寄せられるお話に接して、私はよく自分の浮腫み体験を思い出します。まだ腎康丸に出会う前のことでした。入院してから、私の身体はどんどん浮腫みました。太ももがウエストのように。人の体は、どこまで膨らむのだろうと驚きました。尿に漏れ出る蛋白質の40%を占めているのはアルブミンで、浮腫みはこうしたアルブミンの低下によるものだそうです。私の場合、尿蛋白が(4+)になった時から浮腫みの悪化が本格的に始まりました。浮腫みと共に体重もどんどん増えました。体重の5%以上増加すれば浮腫みとみなされるとされていますが、私の体重増が、見る見るうちに10キロを超えてしまいました。その後も増加が続きました。浮腫みがひどくなっていくうちに、お腹がパンパンになり、胃痛がとても辛かったです。下痢もしました。肺にも水が入り、声がおかしくなりました。非常に不安な気持ちになりました。
その後、プレドニンが効いてきたのか、腎臓が動き出し、朝まで寝る事なくトイレに通い、一晩で20キロも体重が減りました。病気になる前の体重よりも5キロ減らしていました。蛋白質が流れ出て、栄養不足になる寸前であったと言われました。また、一度でこれほどの水分を体外に出すことは血中カリウムを激減させ、心臓に大きな悪影響を与えることがあるそうですが、私は何事もなく幸いであったと思っています。
ある別の会員の方は尿蛋白と浮腫みによる体重の推移記録をとっていました。この会員も、浮腫みが本格的に重くなり始めたのは尿蛋白が(4+)になってからでした。不思議なのは、その後尿蛋白が(3+)に減ってからも体重が増え続けました。体重が減り始めたのは(2+)になって数日経過してからでした。尿蛋白がマイナスになってからは体重が1週間ほどで元に戻りました。
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漢方の「湿」について
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一見普通の言葉でも、漢方では独自の定義を持つものが沢山あります。その1つに「湿」があります。
正常な場合、口から胃に入った水分は全身を潤し、また一部が汗や尿などになって体外に排出されます。しかし内臓機能が不調になると、水分が十分排出できなくなり、体内にたまることがあります。こうした水分は体にとって無用なものだけでなく、時々害をもたらします。体内にたまる無用な水分はいわば病理的な水分であり、漢方ではこれを「湿」といいます。ネフローゼ症候群と腎炎で「湿」が体内にたまることがよくあります。
漢方医学による「湿」治療は内臓機能の改善を通じて行います。内臓機能の不調が治れば、湿がたまらなくなり、既にたまっている湿も排出されます。湿が尿になって体外に出ることもあれば、大便と一緒に排出されることもあります。
ネフローゼ症候群、腎炎の方が腎康丸を服用することで尿の量が増えたり軟便になったりします。これは正に湿が排出されているためです。軟便について会員の皆さんの声を2、3ご紹介します。@「腎康丸を飲み始めてから、20日間ほど断続的に下痢をしました。お腹の中がすっきりするような下痢で特にお腹が痛くなるようなことはありませんでした。調子もよい…」。A「腎康丸を服用し始めて10日経ってから軟便が始まり、半月ほど続いています。とても気持ちのよい軟便です」。B「腎康丸を飲み始めてから泥の様な軟便が続いていたのですが、1年経った6月頃から、急に軟便が治りました」。体内の湿がなくなれば軟便が止まります。最初から湿がたまっていなければ、腎康丸を服用しても軟便になることはありません。
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早期治療が大切
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普段感じていることですが、ネフローゼ症候群にしても腎炎にしても早期治療が大切だと思います。最近東京の大学に通っているある学生さんの方はネフローゼ症候群を発症してからすぐに腎康丸の服用を開始しました。ステロイドは最初から服用しませんでした。この方の場合、効果が出るのは本当に早かったです。詳細は会報「会員便り」のCさんをご参照下さい。お母様がまとめて下さった文面を掲載させていただきました。
私が腎康丸に出会ったのはネフローゼ症候群を発症してから7年後のことでした。私より病歴がもっと長い方もいらっしゃいます。勿論病気治療は病歴が短ければ治癒が早い、病歴が長ければ治癒が遅いという単純なことではありませんし、病気には色々な要素が関わっていて一概に言えないこともありますが、一般的に病歴が長い分どうしても闘病の苦労が多くなります。
ところで、会報の今年2月号でご紹介した30年以上ネフローゼを患っていた方は無事赤ちゃんを出産なさいました。母子とも元気だと数日前に出産のために入院されている病院からお電話を頂きました。ネフローゼ症候群を治癒した上でのご出産です。心からご祝福したいと思います。
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積極的な治療が必要
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私は会の仕事をするようになってから、会員の皆さんの治療や闘病の状況を拝見して、感じることが沢山あります。今回はそのうちの幾つかをご紹介したいと思います。
ネフローゼ症候群も紫斑病性腎炎や糸球体腎炎などの腎炎も確かに難しい病気ではありますが、根気よく治療を受ければ通常は治ります。根気よく治療を受けたことで、巣状糸球体硬化症、膜性腎症などもっと難しい病気が治ったり改善したりする事例も少なくありません。今期会報の会員便りのPさんは兵庫県の60歳代の女性の方です。この方は親の世話をしながら巣状糸球体硬化症の闘病を続けてこられました。頑張ったかいがあって、病気が治癒に近いぐらいのところまで良くなりました。
ネフローゼでも腎炎でもとにかく積極的な治療が必要だと趙先生はいつもおっしゃっています。時間が経てば勝手に治るとか成人になったら治ると言う話も時に聞こえてきますが、趙先生によればこれらの病気は放置せずに治療しなければなりません。病気が長引けば長引くほど治療が難しくなり、治療にかかる時間も長くなるということです。
ネフローゼの度重なる再発、腎炎の尿蛋白・潜血がなかなかマイナスにならないなどが患者本人にとって精神的にも大変辛いことです。しかし当会会員の皆さんはどなたも弱音を吐きません。皆さんが共通して持っている特徴の1つは積極的に病気と闘うことです。治療中に紆余曲折があっても治療が長期化しても決して諦めないことです。このような前向きな気持ちが病気克服の為にとても大事だと思います。3歳の時にネフローゼ症候群を患っているある40歳代の女性の方は腎康丸治療で病気が治り、半年前に2年間の観察段階も無事卒業されました。闘病期間中にめでたく男の子までを出産されました。長年ネフローゼを患っている埼玉の方はめでたく結婚され、新たな気持ちで闘病を頑張っています。また、長崎の方は闘病しながら第2子を出産され、現在母子とも元気です。そして兵庫の会員は仕事の傍ら論文を完成し、3月に博士号が授与されることになっています。
病気の再発や反復については、多くの場合、原因が病気自身にあります。薬の減量・停止によるものもあります。そのほかに、次のような原因によって誘発されることも少なくありません。激しい運動や過度な仕事と勉強から来る疲労・ストレスでもたらされる病気の再発や反復がよくあります。感染によるものもあります。最も多いのは風邪による誘発です。寒い季節のインフルエンザも大敵です。病気の状況が改善されれば、こうした誘因があっても誘発されなくなりますが、改善される前では、色々な面に気を付けることと決して無理をしないことが肝要だと思います。
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