高橋君の体験談 
 
(一)
神奈川「腎炎・ネフローゼ児」を守る会の皆様

 この度、入会させていただきました高橋正明の母です。今まではひたすら病院の先生だけがたよりで、おすがりして参りましたものの、時として落ち込んだり、将来に不安を覚えたりしておりました。そんな矢先に貴会を知り、資料を拝見させていただきました。同じ病にかくも沢山の方々が頑張っておられる様子に接し、いっぺんにお仲間が出来たみたいで心細さがにわかに薄らいで参りました。

 さて10歳の息子がネフローゼ症候群と診断されたのは5年前のことでした。それまでこの病名さえ聞いたこともなく、大変なショックで、ただオロオロするばかりでした。元気がなく、むくみ、尿に大量の蛋白がおりていることが見つかり、最初の入院はおよそ4ヶ月でした。退院して2ヶ月も経たないうちに風邪からネフローゼ症候群が再発してしまい、病院に逆戻りしました。それからも度々の再発で入退院を繰り返しました。そのお陰で小学校入学後も他のお子様と同じ様な学校生活が送れず、長期欠席が重なりました。

 ステロイド剤の副作用か成長も遅く、このままもう治らないのかと不安が募るばかりでございました。

 主人は仕事の関係で駐在員として中国の北京におります。今年の夏、私たちは思いきって東京を引き払って、主人の赴任地にやって参りました。中国で漢方治療を受けさせてみたい思いでした。ところが北京に来た直後から環境の変化からか体調をくずし、ネフローゼ症候群を再発してしまい、こちらの日中合同経営の病院に入院致しました。3週間の治療で症状が治まった頃、先生から、根本的な治療を受けないと、いつか又再発すると告げられ、太原市の腎臓疾患の専門医の紹介を受けました。太原のこの先生は独自に開発された漢方薬で沢山の患者さんを治した方だそうです。

 私たちはこの先生をお訪ねして3ヶ月分の薬を頂いて服用致しました。その間は、異常もなく、経過も良好で、今は2回目のお薬を3ヶ月分頂いて服用中です。

 この薬は最低6ヶ月間服用を続けてはじめて再発を完全に防ぐことができるそうです。腫れ物にさわるというのか祈るような気持ちで毎日を送っております。来年2月で6ヶ月の服用が終わります。神に願いが通じるよう祈っております。

 末筆となりましたが、この度会の皆様の情報に接し、本当に心強く嬉しく思っております。今後とも何卒宜しくお願い致します。

                    高橋/北京 96年12月10日

(『神奈川「腎炎・ネフローゼ児」を守る会会報』
平成9年1月25日発行第46号より転載)



(二)
神奈川「腎炎・ネフローゼ児」を守る会の皆様

 お世話になっております。
 会員便りに取り上げて下さり、思いも寄らぬことで大変嬉しく、「守る会」の温かさが身にしみております。同時に会の一員として責任を感じ、早くその後の経過をご報告しようと思いつつも、ついつい遅くなってしまいました。

 昨年12月お便りさせていただいた時は丁度太原の専門医のお薬を服用している最中でした。そして、今月の5日に医師に指示された6ヶ月分のお薬の服用が全て終わりました。お薬の服用を始めてから、経過はとてもよく、症状は一度も現れまんでした。

 日本にいた時は風邪を引くことがしばしばでした。こちらの冬は厳しく、気温は零下15度を記録することも珍しくありませんが、お薬の服用で体力が大分付いたようで、風邪は1度も引きませんでした。何よりも発病以来、半年間も症状が出なかったことは初めてで夢のようです。食欲もあり、とても元気で、学校から帰るとお友達と遊んでばかりおります。尿検査も結果は全て正常でした。

 2月10日に太原の先生に3度目の診察を受けました。先生からもう薬を飲まなくてもよい。治りました。今後は栄養バランスの取れた食事に心がけ、睡眠を充分とったりして、更に体力を付けるように注意すればよいと言われました。息子の病気は長年私たち夫婦の心の重荷になっておりましたので、先生のお言葉に一瞬耳を疑いました。

 太原のこの先生は趙という先生で、北京の日中病院で診ていただいた李先生が紹介して下さいました。北京に帰ってから、お礼方々、李先生をお訪ねしてご報告致しました。李先生のおっしゃるには趙先生は腎炎・ネフローゼ治療において中国の第一人者で、最近では海外からの問い合わせも寄せられており、日本の『東洋医学』という専門誌にも先生のネフローゼ症候群論文が掲載されたともうかがいました。

 李先生の親戚のお子様も5年前に趙先生に治していただいたそうです。李先生のご紹介だけでも何人かの患者さんが完全に治ったというお話でした。とにかくこのお薬で治れば、後は再発しないのが特徴だとうかがい、息子の事も本当に安心でき、心から感謝しております。

 趙先生のお薬はとても有名で、あちこちから求められているとのことです。太原まで来ることのできない遠隔地の患者さんや海外の患者さんのために、太原にこの薬の発送サービス業が出来た程です。これには趙先生も苦笑いされていました。

 趙先生のお薬は腎康丸(中国語読:センカンワン)という名前で、蜂蜜で丸めた大きな丸薬です。なにしろ見た目は黒っぽくて、口の中で噛みほどいて飲むものです。中国の皆さんは慣れておられるようですが、私どもにはなじみのない代物で、最初は抵抗がありました。私が丸薬をちぎって大豆ぐらいの大きさに丸めなおしました。このぐらいの大きさですと、普通のお薬のように楽に飲めますので、息子も積極的に飲むようになりました。

 中国で素晴らしい先生に巡り会うことが出来て、息子の病気が治り、思い切って中国に来て、本当によかったと思っております。また、北京から近況を報告致します。今後とも宜しくご指導下さい。

 末筆ではありますが、皆々様のご健勝をお祈り申し上げます。

                      北京にて 高橋 1997年2月24日

『神奈川「腎炎・ネフローゼ児」を守る会会報』
平成9年4月13日発行第47号より転載)


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