腎炎・ネフローゼ症候群の治療について (3/3) 

 
 腎康丸は1クール3ヶ月である。各段階の期間は各自の状況によって異なるが、一般的には腎康丸を2クール服用すれば、大体第二段階が終わる。第二段階におけるステロイドの減量は「国際法」より「漸減法」が望ましい。即ち、ステロイド剤は少しずつ減量した方が腎康丸の効果発揮にとって都合がよいわけである。第三段階の期間の長さはこれまでの再発周期とも関係するが、通常は1クール程度でその間症状も尿蛋白もなく、全て正常であれば、腎康丸の服用を打ち切ってよい。

 日本の患者たちの腎康丸服用の開始時期が異なり、早い人は去年の8月からで、遅い人は今月からである。22名のうち、4名が4ヶ月前に第4段階に入り、8名は第3段階にいるが、この8名のうちの5名が間もなく一切の治療を終了する予定で、即ち第4段階に入ることになる。第2段階には6名いて、第1段階には4名いる。 

五、おわりに

 日本のあるネフローゼ症候群患者の母親が「通学している学校では、風邪が大流行し、学級閉鎖になっていたが、うちの子供はきつい風邪を引かないで元気に過ごしている。体力もついてきて、中学生活を楽しめるようになってきた。…プレドニンは(腎康丸服用前はプレドニンを連日10錠服用していた)連日3.5錠まで順調に減量できている」と手紙を寄越し、たいそう喜んでいた。この時患者は丁度腎康丸を1クール服用し終わったところであった。

 腎炎の患者でも、ネフローゼ症候群の患者でも、筆者のところに来るのは大体発病して既に長く経過していて、西洋薬を大量に使ってきている。特にネフローゼ症候群の患者はステロイド剤を服用しても病気が治せないのに、用量を減らしたり、或いは服用を停止すれば、再発が起こるというジレンマに陥っているケースが少なくない。そしてステロイド剤の服用で、免疫機能が抑制され、風邪を引きやすくしてしまい、風邪でまたネフローゼ症候群の再発を招き、病状をさらに悪くしてしまう。

  こうして長期間の病気とステロイド剤の使用で体が弱められた患者に対しての治療は扶正固本が基本だと思う。筆者はこの方法で数多くの患者の治療に当たってきた。この方法で治した患者の再発率が極めて低い。
                           
  (『東洋医学』1998年11月号より)

                            
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