腎炎・ネフローゼ症候群の治療について (2/3) 




 腎康丸(U)は急性腎炎、慢性腎炎の治療用のもので、連翹、茯苓、当帰、沢瀉、黄ごん等14の生薬より構成される。本方は宣肺、清熱、利湿、消腫の役割を果たす。

 腎康丸の主眼は扶正固本であるが、同時に西洋薬の作用を増強したり、ステロイド剤の幾つかの副作用を抑制することもできる。例えば、ステロイド剤を使用している時に、体が弱っているとか、風邪を引きやすいとか、なんとなく元気がない等の副作用がよく見られるが、腎康丸は身体の免疫力を高めることができるため、感染症を防ぎ、風邪を引きやすいという虚弱的状況を改善することができる。これはまた風邪などによるネフローゼ症候群の再発誘発をも防げるのである。ステロイド剤を長期に渡って服用すれば「陰虚陽亢」になるが、腎康丸に加味している、一部の寒涼薬味がこうした状態を治すこともできる。

四、日本患者の治療経過

 数年前中国に来ていた日本の少年のネフローゼ症候群が筆者のところで治ったのがきっかけで、去年、日本の患者たちがレインボー会(代表:吉田将介さん。東京)という組織を結成した。同会は筆者と日本の患者たちの間で橋渡し役として、文書の翻訳などの事務をサポートしている。筆者の治療を受けているのは全てネフローゼ症候群の患者で、昨年の8月から今まで1年の間に延べ22名になっている。この患者たちはレインボー会の会員で、一部は「腎炎・ネフローゼ児を守る会」という別組織の会員でもあると聞いている。

 治療を実施する前に、まず患者に問診票を詳細に書いてもらい、適応症であるかどうかを判断する。適応症の場合、腎康丸の投与を始めるが、患者にはなるべく定期的に経過を報告させ、随時アドバイスを与えている。

 日本の患者の多くは柴苓湯を服用している。同方は小柴胡湯と五苓散の合方で、主に肝胆経の湿熱を除くものであるため、患者にはまず同剤の服用を停止させている。腎康丸による治療及び治癒後の観察は通常次の4つの段階に分けて行う。

 <第一段階>腎康丸と西洋薬を併用する。目的はステロイド剤等の西洋薬で病状を抑えている間に、腎康丸で体の治癒能力を育てる。<第二段階>腎康丸を服用しながら、ステロイド等の西洋薬の用量をそして種類を順次減らしていく。<第三段階>腎康丸のみを服用する。<第四段階>全ての薬を止め、あらゆる治療を停止して、二年間観察する。如何なる異常もないと確認できれば、治癒したと見なす。