のが分かり、ネフローゼ症候群と診断された。入院して、プレドニン、エンドキサンによる治療で、尿蛋白(−)になってから退院。それ以来、十二回も再発し入退院を繰り返した。
[現症]疲れやすい、尿蛋白(+)、脈拍九〇回/分。 プレドニン連日一〇mg使用。
[治療と経過]一クール目の三ヶ月間は、患者は腎康丸を中断することなく服用したこともあって、尿蛋白は早い時期に(−)になり、プレドニンもスムーズに停止できた。しかし、その後、元気になった本人が腎康丸の服用を時々中断するようになった。再発は筆者による治療が五ヶ月に入った頃に起こった。連休中に一家が車で故郷に向かった時に大渋滞に巻き込まれ、道中で十時間も足止めされてしまった。この時の疲れが原因で尿蛋白が(++)になり、ネフローゼ症候群が再発してしまった。
再発がきっかけで本人が指示通りに腎康丸を服用するようになり、それからの経過は順調であった。万全を期するために、治療は一クール延ばして、計四クール即ち一年間続けた。それ以来、七ヶ月間観察を続けている。
[考案]腎康丸を服用している期間中でも、本症例のようにたまにネフローゼ症候群が再発するケースがある。かかる場合は腎康丸だけで対応してもよいし、短期間だけプレドニンを追加使用してもよい。体質や内臓機能がまだ十分改善されていない治療段階で、風邪、過度な疲労、虫さされさえもネフローゼ症候群再発の誘発原因になるので、常に注意する必要がある。
四、結語
ネフローゼ症候群は大体三、四クールの腎康丸治療で観察段階に移行することができるが、ケースによっては効果が遅く現れ、治療期間が長くなる患者もいる。レインボー会にも腎康丸治療を七、八クール受けているのが数例ある。治療が長期化すると、関係者の忍耐力がかなり必要になってくる。途中何度も止めようと思っていた患者が七クールの治療の後、漸く観察の段階にたどりついた例が最近あった。
(『東洋医学』2000年1月号より)