[考案]本症例は再発回数が多く、プレドニンも再発のたびに増量されていたが、同剤の副作用が現れる前に停止できたのはよかった。腎康丸服用の直後に、しばらく下痢気味になったが、これは体内に停滞していた湿熱が薬の力で排出される、非常に望ましい反応である。多くの患者にこのような反応があった。
【症例二】ネフローゼ症候群(微小変化型)
石○○弘、男性、十二歳。
[現病歴]風邪の微熱が続き、浮腫、尿蛋白(+++)。このようにネフローゼ症候群が初発したのは四歳半の時のこと。爾来、年三、四回の再発を繰り返してきた。ずっとプレドニンによる治療を受けている。プレドニンは服用すれば、尿蛋白は(−)になるが、薬が切れて、暫くして、又は減量する途中でも何度か再発している。再発時、腹痛や嘔吐をよく伴う。最近はプレドニンの副作用による白内障、ムーンフェースがかなり進んでいる。学校にはなんとか通っているが、時々休まないと体がついていけない。
[現症]元気がない。便秘気味、小便黄色。尿蛋白(++)。プレドニンを連日20mg服用している。
[治療と経過]腎康丸を一クール投与する。
二診:尿蛋白は(−)になり、大便、小便とも正常になった。元気も大分出てきて、最近学校は全然休まなくなった。プレドニンは既に停止していた。腎康丸をさらに一クール服用するように指示した。
三診:自覚症状は全くなく、すっかり元気になった。尿蛋白もずっと(−)である。この時点で腎康丸による治療を終了した。今まで既に十ヶ月間観察を続けているが、全て順調である。
[考案]この患者は毎月二回病院で検査を受けていた。毎回問診票と一緒に尿蛋白データ及びプレドニンの用量推移をも送ってもらった。腎康丸使用前はプレドニンを使用している時はよいが、使用停止或いは減量の途中でも再発していた。腎康丸を服用するようになってからは、再発を起こすことなく、プレドニンの減量と停止がスムーズにできた。
【症例三】ネフローゼ症候群(ステロイド依存型)
木○○美、女性、七歳。
[現病歴]三歳三ヶ月の時に、瞼が腫れ、乏尿で検査してもらったところ、尿蛋白が大量に出ている
