上記の四段階で分ければ、現在、第一段階にいるのは四名、第二段階にいるのは九名、第三段階にいるのは十四名、第四段階にいるのは二十五名である。治療及び観察の途中で、再発即ち第三段階から第二段階に逆戻りしたのは三例(うち二例は既に第三段階に復帰)で、第四段階から第三段階に逆戻りしたのは一例(これもさらに一クールの追加治療で第四段階に復帰)であった。第四段階に最も早く入った人は十四ヶ月経過している。
三、典型的症例
【症例一】ネフローゼ症候群
山○○司、男性、八歳。
[現病歴]一九九六年三月ネフローゼ症候群発症。即入院して、プレドニンによる治療を受けた。寛解後退院。しかし、プレドニンを完全に停止して一週間も経たない同年の六月にネフローゼ症候群が再発した。それから十月、十二月、翌九七年三月、五月、八月計六回再発している。再発するたびに、プレドニンが投与された。
[現症]筆者の治療をはじめて受けたのは九七年八月。浮腫、乏尿、尿はたまに濁色、白色を呈する。尿蛋白(+++)。脈拍八十七回/分。元気も食欲もない。プレドニン連日三十五mg、アンギナール毎日九〇mgを通院先の病院から投与され、柴苓湯も服用している。
[治療と経過]柴苓湯は停止してもらって、腎康丸を一クール投与。当分はプレドニンと併用するように、ただ、同剤の用量は主治医に従うように指示した。
二診:初診から二ヶ月経過したところ、患者から二回目の相談があった。腎康丸の服用を始めた直後に、下痢気味になったが、一週間ぐらいでよくなったと言う。浮腫が既に消え、尿の量、色とも正常になった。食欲があり、少しずつ元気になりつつある。尿蛋白(±)、脈拍八十三回/分。プレドニンは連日五mgに減量されており、次週から隔日5mgになる。アンギナールは既に停止していた。治療として二クール目の腎康丸を投与した。
三診:尿蛋白は(−)になり、他の自覚症状も一切ない。プレドニンの服用も停止していた。三クール目の腎康丸を投与した。
四診:四診は初診から九ヶ月経過した時に行った。経過は良好で、毎日普通の学生生活を元気に送っている。治療を打ち切り、観察することにした。第四段階の観察に入って、今まで十三ヶ月経過していますが、全て正常である。
