腎康丸による紫斑病性腎炎の治療 (3/3)



 風邪が治ってから、腎康丸を引き続き服用するように指示し、2クールの服用が終わる頃に蛋白尿は(―)になり、他の各症状も消失した。さらに腎康丸を1クール投与してからは、経過が良好であったため、治療を終了した。

 この患者には腎康丸を合わせて3クール投与した。それ以来五年間が経過したが、腎炎の反復は一度もなく、ずっと元気に生活しており、今は既に大学一年生になっている。


<症例四>

 羅○、男、21歳。
 五年前に紫斑病性腎炎と診断され、ステロイド経口投与、パルス療法、抗凝固剤などの併用治療を受けてきた。

 最初は治療効果もよくて、投薬されると、すぐに症状が改善されたが、時間が経つにつれ、段々これらの薬で効果をあげることができなくなった。何回も反復を繰り返し、血尿と蛋白尿も前より増えたため、担当医師の紹介で筆者のところにやってきた。

 この患者に対する治療は2年近く続き、腎康丸(U)を合わせて7クール投与した。腎康丸治療の期間中にも反復があったが、度合いが段々軽くなり、尿所見も少しずつ改善されていった。5クール服用し終わったときに、各症状は完全に治り、尿所見も正常になった。それまで頻繁に反復していたことに鑑み、さらに2クール投薬して、治療を終了した。

 治療終了から今まで一年半ほど経過しているが、すっかり健康になり、就職も出来、元気に働いているということです。


  
<症例五>
 許○○、男、7歳。
 三ヶ月前に紫斑病性腎炎発症。現在紫斑が見られなくなったが、肉眼的血尿、尿蛋白(+++)がずっと続いている。

 患者は上海在住で、来院困難のため、現地病院の診断書、検査報告書を送ってもらって、腎康丸治療を開始した。それまで服用していたステロイドは暫くそのまま続いた後、停止してもらった。

 この患者の経過は順調で、腎康丸1クールの服用で、血尿、蛋白尿とも消失した。合わせて2クールの腎康丸服用で紫斑病性腎炎が治癒できた。
                       
(『腎炎・ネフローゼ症候群の漢方治療』より転載)

                           

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