小児糸球体腎炎治療の症例報告 (2/3)



慢性糸球体腎炎


 
孟○○、女性、14歳

 [主訴]2年間にわたる断続的な浮腫、乏尿の慢性腎炎。
 [現病歴]2年前に風邪で熱を出し、扁桃腺の腫れ、痛みが起こり、次いで、浮腫、乏尿、尿検査でも異常が認められた。当時は急性腎炎と診断され、ペニシリンの注射及び漢方薬での治療を受けて、病状がよくなったため、治療を停止した。しかし1年後に再度発病し、浮腫、乏尿などの症状が又現れた。様々な治療を受けたが、尿蛋白及び赤血球が終始正常にならず、病状も良くなったり悪くなったりする繰り返しであった。

 [現症]患者の成長及び栄養状況は普通。顔色が蒼白で、元気もなく、顔面・眼瞼及び両側の下肢に軽度の浮腫があり、血圧:120/80mmHg、舌が赤く、苔が薄白で、脈遅緩(60回/分)である。尿蛋白:++、赤血球:++。腎機能検査ではいずれも正常値を示している。

 [治療と経過]脾陽の虚弱と体内に滞留した水湿による水腫と診断して、健脾助陽、利湿消腫を行った。

 処方: 黄ぎ、党参各15g、茯苓30g、沢瀉、当帰各15g、枳殻、陳皮各10g、生苡仁、山薬各30g、桂枝、甘草各10g

 右の薬を5服投与した。

 二診:服薬後、尿量が増え、尿の色も以前より薄くなり、尿蛋白:+になった。しかし舌、苔は変わっていない。脈:やや遅(70回/分)である。
 前と同じ処方でさらに10服服用するように指示した。

 三診  これまでの合わせて15服の薬服用で病状がかなり好転し、尿量がさらに多くなり、色も清い。尿蛋白:−、赤血球:3〜5/強拡大視野。以前の処方を5倍の量に増やして、1粒9gの丸薬にした。1日3粒の服用で根本的な改善をはかった。

 丸薬の服用が終わってから再度検査したところ、浮腫など全ての症状が消え、尿蛋白:−、赤血球も2〜3/強拡大視野になり、病状が完全に治まった。同じ処方でさらに2ヶ月分の丸薬を投与し、効果を固めた。

 半年後追跡調査をしたが、全ては正常で既に学校に戻り、普通の学生生活を送っていた。